介護業界への転職は50代からも可能!知っておきたい3つの理由を解説

介護 転職

「介護業界に転職したいけれど、50代からでも大丈夫だろうか?」といった疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

結論から申し上げますと、介護業界への転職は50代からでも可能です。

この記事では、以下の内容について解説します。

・介護業界への転職は50代からも可能な3つの理由

・介護業界へ転職希望の50代が知っておきたい2つのポイント

・介護業界に転職する50代におすすめの勤務先3選

記事の後半では、介護業界に転職したい50代向けの対策も解説します。

ぜひ最後までお読みください。

1章:介護業界への転職は50代からも可能な3つの理由

介護業界への転職は50代からも可能とされる理由は、主に以下の3つです。

  • 介護業界は慢性的な人手不足である
  • 介護業界は未経験から挑戦しやすい
  • 介護業界は50代以降の人が多い

それぞれ詳しく解説します。

1:介護業界は慢性的な人手不足である

介護業界は、急速な高齢化の影響で、慢性的な人手不足です。

2025年には1947年~1949年に生まれた、いわゆる「団塊の世代」の方々が全員75歳以上の「後期高齢者」になります。

2040年には、第2次ベビーブーム(1971〜1974年)に生まれた方が、全員65歳以上の高齢者になり、高齢者が全人口の約35%となると推計されています。

しかし、高齢者を支える介護職員の数は不足している状況です。

厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度には約240万人の介護職員が必要であり、推計では約25万人不足します。

2040年度には約272万人の介護職員が必要であり、推計では約57万人不足する状況です。

このように、人手不足の状況は年々深刻化しているのです。

参考:我が国の人口について|厚生労働省

参考:第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について|厚生労働省

2:介護業界は未経験から挑戦しやすい

公益財団法人介護労働安全センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、前職がある介護職員のうち、30.7%が直前の職種として「介護・福祉・医療関係以外の仕事」と答えていました。

男女別で見ると、男性は37.3%、女性は28.9%が「介護・福祉・医療以外の仕事」と答えています。

職種により異なりますが、介護業界は未経験者歓迎の職場も多いとされています。

業務マニュアルや指導体制が整っている職場も増えてきており、働きながら段階を踏んでスキルを身に付けることも可能です。

3:介護業界は50代以降の人が多い

公益財団法人介護労働安全センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、50代以降の介護職員の割合は、約40%でした。

この調査での介護職員とは、「訪問介護以外の介護保険の指定介護事業所で働き、直接介護を行う者」を指します。

また訪問介護員とは、「介護保険法の指定を受けた訪問介護事業所で働き、高齢者等の家庭を訪問して家事などの生活援助、入浴などの身体介護を行う者」を指しています。

50代以降の訪問介護員の割合は、約50%でした。

この結果から見ると、介護業界は50代以降の方が多いことがうかがえます。

参考:令和5年度介護労働実態調査|公益財団法人介護労働安全センター

2章:介護業界へ転職希望の50代が知っておきたい2つのポイント

介護業界へ転職を希望される50代の方が知っておきたいポイントは、以下の2つです。

  • 介護職の仕事内容
  • 介護職の年収実態

それぞれ詳しく解説します。

1:介護職の仕事内容

ここでは、主な介護職の仕事内容を表に示しました。

職種名 仕事内容 必要な資格
施設介護員 介護施設内で、利用者に対する介護を行う

【主な内容】

食事や入浴、排泄の介助(身体介護)

掃除や調理、洗濯(生活援助)

移動の介助や見守り

コミュケーション

レクリエーション活動

身体介護を行う場合

認知症介護基礎研修と、介護職員初任者研修の受講が必要

身体介護以外の業務を行う場合

認知症介護基礎研修の受講が必要

介護助手 施設介護員のサポート業務を行う

介護補助、介護サポートとも呼ばれる

【主な内容】

食事の配膳

ベッドメイキングおよびリネン交換

掃除や洗濯

コミュケーション

レクリエーション活動の補助

資格は不要
訪問介護員 介護が必要な方の自宅を訪問して、身体介護や生活援助などを行う

通院時の送迎および乗降介助を行う場合もある

介護職員初任者研修の受講が必要

自動車運転免許が必要であることが多い

介護施設としては主に以下のようなものがあげられます。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 通所介護事業所(デイサービス)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

未経験、かつ資格がない方が介護施設で働く場合、「介護助手」として働くことになります。

参考:介護助手の手引き|福岡県保健医療介護部 高齢者地域包括ケア推進課 介護人材確保対策室

2:介護職の年収実態

厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要によると、2022年(令和4年)12月における介護職員の平均給与額の状況は、以下のとおりでした。

保有資格 平均給与額
保有資格なし 270,530円
介護職員初任者研修 302,910円
実務者研修 302,500円
介護福祉士 331,690円
介護支援専門員 376,240円

資格がない方も働ける介護職ですが、資格取得後に働く、もしくは働きながら資格を取得することで高い給与を得られることが見てとれます。

参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要|厚生労働省

3章:介護業界に転職する50代におすすめの勤務先3選

ここでは、介護業界に転職する50代におすすめの勤務先を3つ紹介します。

転職先選びの参考にしてください。

1:通所介護事業所(デイサービス)

デイサービスとは、介護を必要とする方が日帰りで通う施設です。

入浴や食事、排泄といった身体面の介護を受けたり、レクリエーションや趣味活動を楽しんだりします。

デイサービスは夜勤がないため、比較的働きやすい勤務先といえるでしょう。

利用者の送迎も業務に含まれるため、自動車の運転が得意な人に向いているともいえます。

2:認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

グループホームとは、認知症の方が5~9名という少人数で共同生活を送る施設です。

家庭的な雰囲気が特徴で、入居者とスタッフが調理や洗濯、掃除などの家事を一緒に行ないます。

入居者が家事を行う目的は、できることを自分で行うことにより、認知症の進行を遅らせるためです。

レクリエーション活動や季節のイベント、地域との交流行事もあります。

家事スキルを活かした働き方が可能な勤務先といえるでしょう。

ただし、入居施設であるため、交替で夜勤があります。

「グループホームで働きたいけれど、夜勤は難しい」という方は、夜勤なしと記載されている求人を探してみましょう。

3:訪問介護事業所

訪問介護事業所は、名前のとおり訪問介護員(ホームヘルパー)が所属する事業所です。

訪問介護員は、利用者の自宅に訪問し、調理や掃除、洗濯といった家事援助や、入浴や食事、排泄の介助といった身体介護を行います。

訪問介護員になるためには、介護の基本的な知識や技術を学ぶ「介護職員初任者研修」を修了していることが条件です。

利用者の自宅に訪問するため、1対1で利用者に関われる仕事です。

今までの家事スキルやコミュケーションを活かしつつ働きやすい勤務先といえるでしょう。

事業所によっては夜勤が必要なところもあるので、求人を探すときには夜勤の有無を確認しましょう。

4章:介護業界に転職したい50代向けの対策

介護業界に転職したい50代の方向けの対策としては、以下の3つがあげられます。

  • 介護に関する資格取得
  • 自己分析と希望条件の明確化
  • 転職先に関する情報収集

それぞれ詳しく解説します。

1:介護に関する資格取得

無資格の方も「介護助手」として働けますが、少しでも高い給与で働きたい方や、転職後にキャリアアップを希望される方は、資格取得をおすすめします。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修とは、介護職員として働くために必要な基本的な知識や技術を学ぶ研修です。

研修時間は130時間で、座学や実技、実習などのカリキュラムがあります。

未経験者も受講可能であり、この研修を受けることで、身体介護が可能になります。

実務者研修

実務者研修は、介護職員初任者研修よりも実践的な知識や技術を取得するもので、研修時間は450時間です。

たんの吸引や、鼻や口から入れたチューブを通して直接胃に栄養を入れる「経管栄養」といった、医療的ケアについても学びます。

介護職員初任者研修同様に、未経験者も受講可能です。

介護福祉士国家試験を受けるために必要な研修でもあります。

認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は、2024年(令和6年)4月から必須となった研修です。

これから介護の仕事につく方のうち、医療や福祉、介護の資格を持っていない方が対象です。

名前のとおり、認知症介護に関する基礎的な知識や技術を学びます。

150分程度の動画視聴を中心としたeラーニングによる研修です。

eラーニングとは、インターネットを利用してパソコンやタブレット端末、スマートフォンで学習する方法です。

参考:介護に関する資格等について|厚生労働省

参考:令和3年度介護報酬改定の主な事項について|厚生労働省

参考:北海道認知症介護基礎研修のeラーニング化について

2:自己分析と希望条件の明確化

自己分析として、自分が今まで培ってきた知識や技術を書き出してみましょう。

仕事だけではなく、家事や育児、地域との関わりも知識や技術に含まれます。

自己分析をした上で、給与や勤務形態、勤務先など、自分にとっての最優先事項を明確にしましょう。

  • できるだけ給与が高いところがよい
  • 集団ではなく、1対1で利用者に関わりたい
  • 夜勤がない職場がよい

このように希望条件を明確にすることで、転職先を絞り込みやすくなります。

3:転職先に関する情報収集

転職先に関する情報手段としては、以下のような方法があります。

  • ハローワークに登録して相談する
  • 地元の求人情報誌をチェックする
  • 介護職に特化した転職サイトを活用する

情報収集後は、転職先候補を複数ピックアップして、仕事内容や給与体系、研修制度などを比較検討するとよいでしょう。

可能であれば、職場見学や体験をおすすめします。

文字情報だけでは感じにくい、実際に職場の雰囲気が分かります。

5章:50代が介護職に転職する5つのメリット

50代が介護職に転職する5つのメリットとして、主に以下の5点があげられます。

  • 今までの人生経験を活かしやすい
  • サービス利用者との年齢が近く親しみやすい
  • 60代以降も働ける可能性が高い
  • 多様な働き方を選びやすい
  • 知識や経験を親の介護に活かしやすい

それぞれ詳しく解説します。

1:今までの人生経験を活かしやすい

50代は、仕事や家事、育児、趣味活動、地域交流など、さまざまな経験を重ねている年代です。

介護の多くは、日常生活上の援助であるため、経験を活かせる場面が多くなるでしょう。

家事スキルを活かしてグループホームで働く方や、運転手経験を活かしつつ、介護スキルを身につけてデイサービスの送迎員兼介護員として働く方もいます。

2:サービス利用者との年齢が近く親しみやすい

介護サービス利用者の多くは、65歳以上の高齢者です。

50代で介護職になる場合、「利用者と自分の親が同年代である」という場合もあるでしょう。

若手の介護職員と比較すると利用者と近しい年齢なので、「話しやすい」「親しみやすい」と感じてもらえることもあるでしょう。

3:60代以降も働ける可能性が高い

介護業界は50代以降の方が多く活躍しています。

実際に60歳、もしくは65歳といった定年後も働いている介護職員も少なくありません。

50代からの転職者も10年、15年といった長いスパンで働ける可能性が高いといえます。

4:多様な働き方を選びやすい

介護職員の働き方は正社員だけではありません。

パート勤務や派遣社員、契約社員など、働き方はさまざまでです。

日中だけ働く方、日勤夜勤の両方を行う方、夜勤専門の方など、勤務時間においても多様な働き方を選べる点が介護職の特徴といえるでしょう。

5:技術や知識を身内の介護に活かしやすい

介護職として働くと、サービス利用者に関わる中で、さまざまな経験を積んでいきます。

主なものとしては、以下のようなものがあります。

  • 身体介護
  • 生活援助
  • 高齢者とのコミュケーション
  • 認知症高齢者への関わり

経験を通じた得られた技術や、職場内外の研修で得た知識は、自分の親や配偶者といった身内を介護するときにも役立つでしょう。

6章:50代が介護職に転職するときの不安

50代で介護職に転職する場合、さまざま不安を持つ方も少なくありません。

ここでは、4つのケースについて解説します。

1:体力的に可能か?

介護職では、自分より体格の良い方と接することも多くあります。

小柄な女性の方であれば、多くの利用者が自分より体格が良いという状況になるでしょう。

特に入浴介助や排泄介助、ベッドから車いすに移動させる際の介助(移乗介助)などでは、体力を使います。

体力的に消耗するだけではなく、腰痛になる方も少なくありません。

体力的な負担や腰痛のリスクを減らすためにも、正しい介護技術を身に付けましょう。

介護技術の本や動画を見て学ぶ、先輩職員から教わるなど、介護技術を身に付ける方法は数多くあります。

2:新しい仕事を覚えられるか?

介護職は覚えることが多く、転職したばかりのころは苦労する可能性もあります。

メモを取る、先輩職員から教わる、メモをもとに自分用のマニュアルを作るなど、自分に合ったやり方で仕事を覚えていきましょう。

資格取得に向けて勉強する、介護技術に関する本を読むなど、自主的に学ぶ姿勢が大切です。

3:若いスタッフと良好な人間関係を築けるか?

50代からの転職の場合、ほとんどのスタッフが自分より年下であることが予想されます。

まずは、自分から積極的に挨拶することから始めましょう。

若いスタッフも職場では先輩であるため、謙虚な態度で接することが大切です。

転職して間もない時期は、周りの話をよく聞き、職場の雰囲気をつかむことを優先しましょう。

4:年収アップは可能か?

年収アップの近道は、資格の取得です。

介護職として働きながら、介護福祉士やケアマネジャーの資格をとることで、基本給アップにつながります。

体力に問題がなく、家庭の事情が許すのであれば、夜勤を行うことで年収アップが可能になります。

夜勤手当が基本給に上乗せされるためです。

職場選びの際には、基本給のほか、各種手当や賞与(ボーナス)の状況も把握しておきましょう。

まとめ:介護業界に転職したい50代は事前準備の上、自分に合った職場を選ぼう

この記事では、介護業界に転職する50代の方に必要な情報を解説しました。

50代からも介護職に転職することは可能ですが、資格取得や自己分析、情報収集など、さまざまな準備が必要です。

少しでも高い給与で働きたい方は、事前に資格取得をおすすめします。

介護職員初任者研修や実務者研修は、介護未経験の方も受講可能な研修です。

資格取得や、自分に合った職場選びを通じて、転職を成功させましょう。

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